胆石持ち、腹腔鏡下胆嚢摘出手術を受ける の巻

先日、長年あたためていた胆石のある胆嚢の摘出手術を受けてまいりました。

当方は現在40代に突入して2年が経過しようとしておるところなのですが、何を隠そう20代の頃からというキャリアの長い胆石持ちでして、しかも痛みも20代の頃から続いていました。

今日は、そんな私の胆石生活について掘り下げてみたいと思います。

今現在胆石持ちで痛みのある方、腹腔鏡下胆嚢摘出手術をご検討中の方、並びに胆嚢摘出手術を目前に控えて不安いっぱいの方などなど、私の経験がどなたかのお役に立てることを祈って。

胆石歴

初めての胆石疝痛(たんせきせんつう)

遡ること約20年。

初めて胆嚢に痛みが現れたのは、20代の前半に友人とお酒をたらふく飲んだ日の夜中。

布団に入ってすぐ眠りに落ちたのですが、腹部の鈍痛で目を覚ましました。

鳩尾(みぞおち)の、自分から見て右上部、肋骨のすぐ下あたりが痛みました。

初めて感じた痛みで、下痢とは違う痛みだし、便秘なわけでもなかったので、腸の痛みではないだろうと思い、位置的にも胃の痛みかなぁ…と漠然と考えていました。

しかし、我慢できないほどの痛みではなく、うずくまって2時間くらいしたら急に何事もなかったように痛みがおさまったので、若干心配でしたが余り気にしないで過ごしていました。

ですがその後から、同じ痛みで夜中に目を覚ますことが少しずつ増えていきました。

私の場合は暴飲暴食や油物をたくさん食べた後などに痛みが起こることが多く、そういう食事は夕食に多いため、夜中眠っている最中に痛むのが常でした。

なんだろう…

毎回痛みはおさまるけど、繰り返すところを見ると治ってはいないってことだよなぁ…

と不安を抱え、思い腰を上げて内科を受診することにしました。

初めての胃カメラ

「夜中に胃のあたりが痛くて目を覚ますことがあるんです」と消化器科の先生に伝えると、まず腹部のレントゲン撮影をされました。

私は日頃から快便なのですが、この日は朝からお通じが良くて特にお腹の中がスッキリしており、レントゲンで私の胃腸をチェックした先生は『こんなに綺麗な腸は初めて見た』と言っていました(笑)

というわけでレントゲンでは異常が見つからなかったため、次回胃カメラを入れましょうということになりました。

胃カメラの前日は夜の9時以降食事をしてはいけません。

なぜかというと、胃カメラを入れると必ずと言っていいほど※えずく(※オエっとなって胃の内容物を吐き出そうとする反射運動のこと)ので、その時に胃に食べ物が入っていると胃の内容物が詰まって窒息したり、気管に入って肺炎を起こしたりという危険があり、更にはせっかくカメラを入れても胃壁が食べ物できちんと見えなくて再検査になったりと、とにかく散々な目に合うからです。

先生の言うことは、きちんと聞きましょう。

お水は当日の朝までは飲めたと思います(検査の時間帯によりますが)。

さて、予備知識なしで胃カメラに挑みます。

意識のある状態での胃カメラ検査なので、まず、喉の麻酔(変な味のする液体)を口に含んだまま、飲み込まずに数分間上を向くよう指示されました。

麻酔を吐き出したら、診察台の上に右を下にして寝かされ、マウスピースをくわえるよう言われました。

『胃カメラはうどんより少し太いくらい』とか言われましたが、どん兵衛のうどんを想像してるとえらい目に遭います(笑)

口から入れるカメラは直径9mmくらいと言われてますが、硬さもあるので私の感覚としてはメンソレータムのリップクリームくらいの太さに感じられました。

口の奥まで入れられたら途中で『飲み込んで下さい』と言われましたが、飲み込んで下さいっったってずーっと繋がってるわけです。

飲み込んでも飲み込んでもずーっとカメラのホースが体内に突っ込まれ続けるわけです。

最悪だーなんだこりゃーと思っていましたが、それでもゴクン、ゴクンと胃カメラを胃に誘導するために頑張って飲み込み続けました。

ポイントは胃カメラが喉の奥に押し込まれていることに意識を向けないことです。

遠い目をして意識も遠くにやるイメージです。

パニックになったら結局自分が余計に苦しむだけですからね。

何度も自分から『オエッ!』という爺さんみたいな声が出て、涙やら鼻水やらヨダレやらがとめどもなく溢れてくるのですが、例え私が花も恥じらう20代のレディーであってもまるでかまっていられませんでした。

先生からは“全て垂れ流せ”という拷問的な指示が下ってましたしね。

先生から『画面見れる?』と言われ、目からは涙、口からはよだれをダラダラ垂らしながら黒いホースを喉の奥に突っ込まれた状態で上目遣いで自分の胃の内部の画像を見つめているこの状況は一体なんなんだと思いながら、「早く終われー早く終われー」と脳内でず太い声で呪いのように唱えながらひたすら耐え忍びました。

その甲斐あって胃カメラ検査は無事終わり、胃は少しの荒れが見られる程度、あと胃下垂だと言われましたが、その他は異常はありませんでした。

しかし異常が見つからなくて良かったはずなのに、異常が無いなら無いで胃カメラやり損みたいな気になってしまうのはなぜなのだろうか…。

とりあえず胃に異常がなくて良かったが、私は胃カメラが嫌いである。

超音波(エコー)検査で胆石(胆泥)が見つかる

さて。

胃に異常が見つからなかったので、引き続きエコー検査を受けました。

エコー検査は妊婦さんの検診でお馴染みの検査で、ジェルみたいなものをお腹に塗られてお腹の上をコロコロされるだけの、痛くも痒くも無い検査です。

この結果、私の胆嚢に泥状の胆石があることがわかりました。

(ますます胃カメラやり損じゃねぇか!と思ったことは秘密です)

その時に先生から「痛みがあるなら胆嚢とった方がいいよ」と言われたんだと思いますが、私は原因が胆石だとわかったことにとりあえず安心して、この胆石をそのまま放置します。

ただ、胆石が詰まって胆嚢炎になったり膵炎が起きたりすると命に関わる場合があることや、胆嚢ガンの懸念もなくはないので、いずれは手術で胆嚢を摘出しないとならないなぁとは思いました。

胆嚢はガンになっても気づきにくく、肝臓にくっついている臓器であるうえに十二指腸や胃にも隣接しているので、症状が出た時には治療が困難になることが少なくないと言われています。

胆石と胆嚢ガンの関係は確認されていないと言われている一方で、胆嚢ガンになった胆嚢からは胆石が見つかるとも言われていて、何かしら関係していると考えているお医者さんもいるようです。

手術するのもリスクがあるし、放置するのもリスクがある。

正解がわからないからひたすら悩みます。

胆石及び胆石疝痛の原因と思われること

その後、胆石を抱えながら数年が経過。

胆石疝痛をたびたび起こしながら生きていました。

食べすぎたなぁと思っても痛まない日があったと思えば、そんなに飲み食いしたつもりがなくても「うーっ」となったりして、自分の体なのに自分の思う通りにいかないジレンマと腹痛に振り回されていました。

胆石のできやすい人の特徴は“5F”などと呼ばれており、

Fatty(肥満)

Female(女性)

Forty(40代)

Fair(白人)

Fecund(多産婦・経産婦)

の五つで、女性ホルモンが関係しているのではないかと言われていますが、この時点で私が当てはまっていたのは“女性”くらいでしょうか。(痩せてはいませんでしたが肥満とまでは行っていなかった(と自分では思っています))

ただ、胆汁の流れが滞る原因として、高校生くらいの時から朝食を取らずに通学していたことが原因の一つかもしれないと思いました。

それから、実父が胆石持ちで胆嚢を摘出していますので、遺伝もありそうです。

胆石疝痛の兆候としては、長距離ドライブで長い時間座りっぱなしだったり、締め付けのキツいブラジャーやカップ付きのタンクトップなどを着ている日などは、消化不良や腹痛が起きやすい傾向があることに気がつきました。

また、生クリームや牛脂などを食べた後に冷たい飲み物を飲んだりした時も、消化不良のような症状が出て腹痛も起きやすくなりました。

お腹の中で脂が固まって消化に時間がかかっているような感覚です。

新婚旅行でニューカレドニアに行った時も、9時間のフライトの間に機内食を食べたので、現地に着いた初日は腹痛で棒に振りました_| ̄|○

こうして胆石を抱えて生活しているうちに、牛脂・バター・生クリームをたくさん食べたり、少量でも冷たい飲み物と一緒に摂取することで腹痛が起きやすくなることがわかってきました。(これを私は一人で勝手に“牛の呪い”と呼んで恐れおののいています)

不思議なことに、私の場合はとんかつや唐揚げ、鯖やホッケなどのあぶらでは腹痛は起きにくいようでした。

それから、パンを食べるときに水分が少なかったり食べすぎたりした時にも腹痛が起きました。

胆石疝痛なのか胃下垂による胃の消化不良なのか区別がつきにくいのですが、私の腹痛の原因になる食べ物や状況が少しずつわかってきて、コントロールしながら生活できるようになりました。

それから、胆石が寝ている間に胆管に出て行きにくいようにと、右半身を下にして眠る習慣がつきました。

初めての胆石発作

胆石が見つかってから6〜7年が経過したころ、初めてのたうち回るような痛みに襲われました。

長男を出産して2年ほど経った頃だったのですが、陣痛を超える痛みでした。

なんとなく吐きたくて指を突っ込んで吐きましたが、朝食で食べたキャベツがそのまま出てきた後も、痛みはいっこうに引きません。

ただ、その日の晩はたまたま左を下にして寝ていました。

たまたまかもしれないけどと思い、痛みと格闘しながら左を下にしないように気をつけながらどうしようか考えていたら、急にストンと痛みが抜けました。

『???』

なんだか狐につままれたような気分になりながら、近所の病院に診てもらいました。

起こったことをそのまま先生に話すと、こともあろうにその先生は

『便秘じゃないの?便秘も相当痛いよ』

と言うじゃないですか。

『便秘で病院になんか来るわけないだろ!自分でいちじくカンチョーで開通させるわ!』

と思ったけど、顔に出すだけで我慢して(笑)、採血してもらいました。

そして家に帰ったら夕方先生から連絡が入り、

「肝臓の数値が凄い上がってたわ。これは痛いわ!」

と言われました。(40未満が正常の数値が500超えてたとか言ってました。)

『あったりまえだわ!だからわざわざ病院に行ったんだよ!』

と思っていたけど、大人だから我慢して(笑笑)、先生から紹介状を書いてもらって総合病院に行きました。

『二度と来ねーわ!』

とは、言いませんでした(笑)

総合病院でエコー検査をしてもらうと、やはり胆石と言われ、先生から胆嚢の入口に一時的に石がはまって抜けたのだろうと言われました。

特に治療もせず、「手術するならうちでするかい?」と言われたので『はい』とだけ言って帰って来ました。

そしてこの後に及んで私は、それからさらに10年以上放置するのでした。

…乳飲み子二人抱えて入院は出来ませんでしたの(^^;;

私の“我流胆石疝痛対策”

こうして書いてみるとずいぶん長いこと放置していたんだなぁと身に染みますが、おかげでと言ってはなんですが、自己流の緩和対策を編み出しました。

まず、右を下にして寝ることは大切だと思います。

あれ以来腹痛が起きそうな日は徹底して右を向いて寝ていました。

そのお陰だったのかを確認する術はありませんが、あの初めての胆石発作の後は、一度も発作を起こしたこと(胆嚢の入口や胆管に石がはさまること)はありませんでした。

ただ、痛むことは結構頻繁にありました。

自慢じゃないですが、おそらく石が見つかってから100回近くは痛んだと思います。

ですが、その中でも痛みを和らげたり、時には事前に回避できたこともあったと思っています。

その方法が、腹部や臀部(おなかとおしり)を温めることです。

私の場合ですが、長時間座っていたり(乗り物に乗ったりして同じ体制を長く続けなくてはならないような状況)、お腹が締め付けられたりして、胆嚢や胃腸などの血流が悪くなることが疝痛を起こす要因の一つだと感じます。

なので、前兆を感じたら下着を緩めたり、立ち上がったりしていました。

現に、立って歩くと消化が良くなります。椅子にすわっていなければならない時は、お尻を片方ずつ上にあげたり、マッサージをするなどして、お尻の血流を良くすると、体が喜びます。

腸の働きが悪くなると、胃や他の臓器も元気がなくなるようなのです。

なので、そういう体勢が長く続いた後にすぐ食事を摂るような場合は、ちょうど胆嚢を挟むようにして腹部と背部に貼るカイロを貼って温めていました。

一旦痛みが出てしまった後に痛みを止めるまでは至らないことが多かったですが、痛みを和らげるのには大変有効でしたし、事前に貼っておけば痛みを回避することも大いに期待できました。

カイロを切らしているときは、熱めのシャワーを腹部や背部に当てたり、湯船に浸かって温めたりするのも痛みを和らげてくれました。

それから、最近“潤勝散”という胆石や胆嚢の疼痛に効く漢方薬をネットで購入したのですが、数回しか使ってないけどなんとなく効いた気がします。

結局手術することにしたので数回の使用感しかお伝えできませんが、腹痛が起きそうな前兆が起きた時が“カイロ貼ろうかな”と思うタイミングなのですが、そのタイミングで薬を飲んだり、今日はたくさん飲み食いしそうだなという時に事前に飲んでおくと効果があったように感じました。

もし、なんらかの理由ですぐに手術ができなかったりする場合などは、試してみると良いかもしれません。

ただ、結構値の張るお薬ですし、飲むことによる副作用や、今飲んでいるお薬との飲み合わせなどの心配もありますので、用法容量をよく読み、かかりつけのお医者さんや薬剤師さんなどに相談してみてくださいね。

私のおすすめする胆嚢痛対策は、

①右を下にして寝る

②長時間座りっぱなしや締め付けの強い下着を避ける

③おなか・背中・お尻を温める

④油物を食べるときは温かい飲み物と一緒に

⑤おなかに詰め込みすぎないこと(一度にたくさん食べないで食事の回数を増やす)

の五つです。

腹腔鏡下胆嚢摘出術

手術前検査

さて。

私の20年ものの胆石歴にも、いよいよ終止符を打つときがやって来ました。

ついに手術に踏み込むきっかけとなったのは、痛む頻度が増えてきたことです。

今までなんともなかった食事でも痛むようになったりして、40代という年齢的な心配と、子供たちも大きくなったことも重なり、このタイミングにしました。

かかりつけの先生に総合病院の紹介状をあらためて書いてもらい、また諸検査をしました。

血液検査・尿検査・心電図・エコー検査・レントゲン・そして、胃カメラ_| ̄|○

今回の胃カメラでは左を下にして横たわるよう言われましたが、それ以外は20年前とおんなじでした。

胃カメラを入れると、20年前と同じくまたしても爺さんがえずくかのような声が出ました。「オエェ!」と、胃カメラをするたびに喉から現れる爺さん。

20年経っても胃カメラは相変わらず太いし長いし、なんとかならんもんかな。

でも今回も爺さん化の甲斐あって、胃は綺麗でした。

ちょっと気になるピョコっとしたポリープらしきものが見えたので先生に尋ねると、「これは胃炎のない人の胃にできるものだから全く問題ありません」と言われました。

(ついでにピロリ菌の検査もしてもらいましたが、ピロってもいませんでした(^皿^)v)

エコー検査やレントゲンでも胆石が胆管に落ちてたりせず、心電図や血液検査にも問題がないということで、胆嚢摘出手術を受けられることになりました。

この後日、外科の先生との打ち合わせをして入院にかかる書類を山ほど提出し、栄養士さんや手術室の看護師さんなどからももろもろの説明を受け、入院準備が整いました。

入院

入院日の前日には唾液によるコロナのPCR検査をして陰性を確認しました。

パート先に長期のお休みをいただいて、予定通り入院しました。

入院は予定通りにいけば五日間とのことで、短すぎて逆に大丈夫なのか?と心配になるほどでした。

あっという間に退院させられるものなんですね。

入院初日と翌日の手術日は夫が休みを取ってくれたので、子供達をいつも通り学校に行かせたり夕飯を食べさせたりしてくれました。

食事の支度などは一切しない夫ですが、子供達にも手伝ってもらったりしながら頑張ってくれたようです。

夫や子供達をはじめ、お互いの両親たちも、とても心配してくれていたのですが、当の自分は全然心配しておらず、一番のほほんとしていました。

この一年、次男が度重なる不明熱で通院を繰り返し、挙げ句の果てには白血病の疑いで入院したということがあり(結局白血病ではありませんでした。不明熱は不明熱のままですが、その後熱は出ていません)、自分のことなんか何があってもへっちゃらになってしまいました。

親にとって子供の命は最優先ですから、そこを乗り越えたら怖いものはなくなってしまいました。

でも、手術に絶対がない以上、長男と夫にとっては次男の時と同じように、次男にとっては今度はお母さんが一大事だと思って心配してくれているんだなと思うと、なんだか申し訳なくなりました。

『元気に長生きするための手術だから大丈夫だよ!』と言って出て来ましたが、夫や子供達の心配そうな顔には胸が痛みました。

今まで夫や次男の入院に何度も付き添って来ましたが、入院する側は初めてだったので、なんだか気楽なもんでした。上げ膳据え膳最高と思ったりして。

そんなことを考えていましたが、石のできる胆嚢とはいえ、今まで頑張ってくれていた胆嚢と明日でお別れかぁという気持ちが湧き上がってきて、寂しさが込み上げて来ました。

入院初日

入院後は早速レンタルの寝巻きに着替え、麻酔科の先生から明日の手術の説明を受けました。

「麻酔薬には色々と危険もありますが、最大限の注意を払い、柔軟に対処しますので安心して手術を受けてください」みたいな話でした。よろしくお願いします!と言って麻酔科を出て、それから病棟で身長体重の測定をして、お昼ご飯を食べました。

そのあとは、明日の手術に向けて入浴して清潔にして、お風呂から上がったあとは看護師さんにヘソのゴマの掃除をしてもらい、足の動脈に印をつけられました。

基本的に今日は自由だったので、テレビカードを買ったり売店でヨーグルトやコーヒーを買ってきて冷蔵庫に補充したりしてました。

6時ごろご飯を食べて、9時以降はもう何も食べられません。9時は消灯時間ですしね。

飲み物(水かお茶かスポーツドリンク)は明日の朝8時までは飲めると言われました。

家のみんなはどうしてるかな?と考えながら、夫にお休みとラインを送り、普段よりかなり早い就寝時間にも関わらず、しかも翌日は人生初の手術だというのに、朝までぐっすり熟睡した神経の図太い私です。

手術当日

さて、いよいよ手術当日の朝を迎えました。

すこぶるお腹が空いていますが、我慢です。

実はこの日、同じ病室の隣の患者さんも胆嚢の手術を受けることになっていました。

私はその患者さんの次に手術を受けることになていたので、看護師さんが隣に来て話していることを盗み聞きしながら心の準備をしていました。

私の手術はお隣さんの手術が終わってみないと時間がわからないと言われていましたが、だいたい予定通り12時からになりました。

11時ごろには手術衣に着替え、足には血栓予防の弾性ストッキングを履き、病院に指定された通り綿100%のパンツを履いて待機。

すると、看護師さんが来て鼻からチューブを入れられました。

鼻にそれこそ細めのうどんくらいの管を入れて、喉の奥まで通しました。(この時は爺さんみたいな声は出ませんでした(笑))

そのあと排尿を済ませたら、点滴の針を入れられ、ストレッチャーに乗るよう指示されました。

テレビドラマなどでよく見るあれだー!と思いながら仰向けにのり、そのままエレベーターで手術室に運ばれて行きました。荷物になった気分でした。

手術室は明るくて、人がたくさんいました。

以前の打ち合わせの時に手術室の看護師さんから好きな曲を聞かれていて、洋楽が好きだと伝えていたので、手術前の緊張をほぐすために洋楽をかけてくれていました。

まさか手術室で音楽が聴けるとは思わなかったのでびっくりしましたが嬉しかったです。

手術室の看護師さんたちはみんなかっこよくて優しくて、なぜだかわからないけど泣きそうになりました。

流石の私も手術室に入って緊張していたようで、「手が冷たい。緊張するよね。』と言われました。

上を脱がされ心電図やらなにやらがつけられました。

そうこうしていると、隣になんだかプラスチックのひしゃくみたいなものを持っている看護師さんが来て、私の口元にあてがいました。

「酸素が出ているのでゆっくり深呼吸してください」と言われ、いう通りにしました。

「点滴から麻酔が入ります。10秒ぐらいで寝ちゃいます。」と言われてから、3秒くらいで落ちました。

次の瞬間には「嘉藤さん終わりましたよー!」と呼ばれ、一瞬で手術が終わっていました。

本当に一瞬に感じました。初めての時空ワープ体験でした。

20年近くも痛いのを我慢してきたので、胆嚢が癒着を起こして腹腔鏡から開腹手術に変更になったら嫌だなぁと心配していましたが、当初の予定通り腹腔鏡下手術で済みました。

また、胆嚢は硬くなっていましたか?と聞いたら、「全然!ヤワヤワでした!」と言われました。何はともあれ予定通りにことが済んでホッとしました。

それから、手術前に先生に“取った胆嚢が見たいこと”と“胆石が欲しいこと”を伝えていたので、意識朦朧の中ジップロックに入った血だらけの胆嚢を見せてくれました。

たらこ一腹くらいのサイズでした。

42年間ありがとう胆嚢(T-T)

先生と看護師さんから「痛みはどうですか?」と聞かれたので、『この今の痛みはこれから強くなりますか?』と聞くと、「多分もう少し痛くなると思います」と言われたので、結構痛いなと思い、痛み止めを入れてもらうことにしました。

手術創は四つで、ヘソのところの傷が強く痛みました。他の傷の痛みが全くわからないくらいでした。

おそらく痛み止めがなくてもなんとか耐えられる程度の痛みでしたが、その日のうちに歩かされると聞いていたので、無理をするのはやめました。

痛み止めはてきめんに聞いて、気づいたら全然痛く無くなって寝ていました。

この時一番辛かったのは、酸素マスクのにおいでした。

気持ち悪くて吐きそうになり、勝手にちょいちょい外していました。

術後の痛みより酸素マスクのにおいの方がキツかった。

少し経ったら先生が胆石を持ってきてくれました。

詳しく聞きませんでしたが、おそらく“黒色石”という色素胆石だと思います。

オレオのカスみたいな石で、触った感じもオレオみたいでした。硬いけど触るとホロホロと崩れます。

記念にお見せします。

一番大きい石でも3mm程度しかありません。(こんなに小さいのに痛むんだなぁ)

術後四時間が経過すると、看護師さんから「着替えましょう」と言われました。

腹筋に力が入ると傷が痛むので、『もうお腹に力入れても大丈夫なんですか?』と聞くと、「大丈夫だけど痛いでしょ」と言われました。痛みよりも傷口が開きそうで怖かったのですが(^^;;

でも普通に着替えができました。

麻酔がかかってから尿管が入れられていたので、着替えのついでに尿管も外してもらい、身軽に。

お水も飲んでよかったのですが、たいした飲みたいとも思わず。

その後、痛み止めは追加してもらわなかったので痛みが出てきましたが、どれほど痛いのか知りたくて我慢してみることに。

流石に寝返りのたびに痛み、この日の晩は1時間〜2時間ごとの細切れ睡眠でしたが、耐えられないような痛みではありませんでした。

手術後一日目

朝5時におしっこがしたくなってトイレへ。

便座に腰掛けた途端に急に吐き気が込み上げてきて、そのまま嘔吐。

朝っぱらからトイレとパジャマを汚してしまって気が滅入りました。

茶色のような緑のような黄色のような液体が大量に出ました。胆汁?

隣のベッドの患者さんが吐き気がするとずっと言っていたけど、自分はなんともないなぁと思っていた矢先の嘔吐でした。

でも吐いたらスッキリしてそれっきり。

午前中に採血1本とレントゲン、結果は良好。

お昼から食事も再開されました(^O^)v

でもいきなりチキンライスが出て全然食べられなかった…。

見ただけで胸焼けが_| ̄|○

白いご飯と味噌汁が食べたかったのに…。

夕方に点滴も抜けて、いよいよ身軽に!

ガスも便もまだ出ないけど、もう戻すこともなく、食欲も普通にあるし、いい感じになって来ました。

この日は痛み止めの錠剤をもらって寝たのでゆっくり眠れました!

手術後二日目

やっとガスと便が出ました(⌒▽⌒)

ですが、実は術後すぐから座ると左の肩甲骨や鎖骨付近に軽い痛みが出ていて、今日はその痛みがマックスに!

看護師さんに聞いたら「寝違えたんじゃない?」と言われたので、『そうかなぁ…』と思いつつ湿布をもらって貼りましたが、痛みがあちこちに飛ぶのでやっぱり寝違えじゃない感じ。

自分では放散痛ではないかと思っていました。

先生に聞いてもはっきりしないのでスマホでググったら、“手術で使った炭酸ガスがどうしても少量体内に残ってしまい、そのガスが横隔膜付近を圧迫することで痛みが生じることがある”という記事を見つけ、『これだ!』と思いました。

(その後、退院して自宅に帰ってからも痛みは残っていましたが、徐々に気にならなくなりました。)

この日は昼過ぎから栄養士さんに退院後の食事の指導をしてもらい、夕方からシャワーの許可が出ました。

食事も残さず食べられるし、痛み止めなしでも気にならないくらい痛みは落ち着きました。

この日もゆっくり眠りました。

手術後三日目(退院)

この日は朝から採血され、10時ごろの回診の時に先生から採血結果も術創も良好ということで退院許可がおりました。

11時ごろに夫が迎えに来てくれて、とっとと帰宅しました。

今回は六人部屋に四人がいたのですが、コロナ禍ゆえかみんなカーテンはあけず、同じ病室なのに顔を合わせることもなく、個室とあまり変わらない入院生活でした。

パートは肉体労働なので3週間ほど休みをもらいました。

その後の経過

10日後に外科を受診するように言われていたので受診し、採血の結果に問題がなかったので、これで通院も終了しました。

摘出した胆嚢は検査に出されていましたが、ガンにはなっていなかったとのことでした。

もうすぐ術後から四週間が経ちますが、傷の痛みはもうないです。

それぞれの傷口は少し盛り上がって硬くなっていましたが、それも段々と引いてきて、赤みも無くなってきています。

入院中から気になっていた左肩付近の圧痛もなくなりました。

退院後間のない頃は、下痢気味の便が一日に2〜3続いていて心配していましたが、先生からは徐々に落ち着いてくると言われており、おっしゃる通り徐々に軟便から普通便になって回数も一日一回に落ち着いてきました。

間欠的に軟便になったりすることもまだありますが、良くなっている感があるので安心しています。

今回の手術では保険適用(3割負担)で160,000円ほどかかりましたが、あらかじめ限度額適用認定証を発行してもらっていたので、手出しは80,000円程度で済みました。

ありがたい制度です。

保険にも入っていたので手術代は降りるし、もしものための保険のありがたみがひしひしと伝わっています。

まだしばらくは無理をせず、徐々に調子を上げながらいつもの生活に戻っていけたらと思っています。

以上、長くなりましたが、胆嚢摘出手術の体験記録でした。

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