地震が大っ嫌いだったばあちゃんの話

先日叔父の家に遊びに行った時にちょっと不思議な話を耳にしました。

数年前に亡くなった祖母の話でした。

この秋、北海道は大規模な地震に見舞われ、全道各地で大きな被害が出て、沢山の犠牲者が出てしまいました。

私の住んでいる地区でも震度5強を観測し、ご存知のとおりブラックアウトで数日電気なしの生活を余儀無くされましたが、幸い我が家はオール電化ではなかったので、プロパンガスで湯を沸かしたり料理をしたりは出来ました。

お水が止まらなかったのもありがたかったです。

叔父は私の実父のお兄さんで、長男のため本家に住んでいるのですが、築50年以上の古民家のため、毎度の地震のたびに倒壊しやしないかと、住んでいる叔父も親戚一同もヒヤヒヤするのですが、この度の地震でもなんとか持ちこたえてくれました。

玄関まで出るのに立ちあがることができず、四つん這いで外へ出たと叔父が話していました。

亡くなった祖母は、地震が大嫌いな人でした。

地震が起きるたびに誰よりも早く外へ逃げたという逸話は今でも親戚の間で語り草になっています。

そんな祖母が亡くなってからもうすぐ6年が経とうと言う頃に、胆振東部地震が全道を襲いました。

先述したとおり叔父が四つん這いで外へ這い出たあと、揺れが収まって再び家に戻って仏間の様子を見に行くと、壁にかけていた4つの遺影のうちの1つが床に落ちていたんだそうです。

それも、掛けてあった壁の真下ではなく、部屋の真ん中あたりまで吹っ飛んでいたと言っていました。

そしてその遺影こそが、地震の大嫌いだった祖母のものだったそうです。

叔父はなんでもキチッとする人です。

頭よりも高い位置に遺影を掛けるのですから、絶対に外れないように細心の注意を払って掛けたはずです。

本人も、「あんなに頑丈に掛けておいたのに…」と不思議がっていました。

あの規模の地震でしたから、吹っ飛んでいても不思議でないと言ったらそうなのですが、他の遺影はきちんとかかっていたことと、落ちていた遺影が他でもない地震嫌いなばあちゃんだったとくれば、我々一族の考えたことは一つでした。

そんな中、祖母と一緒に暮らしていたイトコがポツリと

「ばあちゃん外に出ようとしたんだね」

と言いました。

叔父は

「遺影になったのに、まだ逃げるのか」と言いました。

婆ちゃんの地震嫌いは天国へ行っても健在のようです(笑)

でも、地震って本当に恐ろしいです。

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