誰からともなく「赤ちゃんは母乳で育てなくてはならない」という風潮があります。
確かに母乳で育てるに越したことはないでしょうが、その固定概念が、初めて子育てするお母さんにとっては無言の圧力になる場合があります。
私は、長男をほぼ完全ミルク、次男は半年ほど混合・のちミルクで育てました。
できれば母乳で育てたいとは思っていましたが、「絶対母乳でなくちゃダメだ!」とは思っていませんでした。
私がかかっていた産婦人科が母乳育児に対して寛容なスタンスだったのと、私の実母が完全ミルクで私たちを育てたという事実がミルク育児の敷居を低くしていたことは間違いありません。ついでに夫もミルク育ちです。
それから、夫や両親に子どもを預かってもらう時にミルクの方が便利だとも考えていました。
一生懸命母乳で育て、預けることもなかったお母さんたちには叱責されちゃいますね。
長男を出産した時は、初めてで上手に授乳させてあげられず、看護師さんに胸をマッサージしてもらったりしながらも、長男が泣くのが可哀想ですぐにミルクに頼ってしまいました。
「赤ちゃんが泣いてるから泣き止ませなくちゃ」という意識の方が強かったんです。
“泣かせてはいけない”、“泣いたらすぐに泣き止ませるのが母親だ”という誤った認識を持っていました。
泣き声を聞くたびに責められているような感覚になりました。
のちのち、友人の産婦人科では赤ちゃんが泣こうが喚こうが出ないお乳をくわえさせ、ミルクはごくごく少量しか与えられなかったと聞き、出産すれば自動的に母乳が出る気がしていた私は“私の母乳が出るようにならないワケだ”と納得したことを思い出します。
ミルクじゃダメ?母乳育児にもミルク育児にも一長一短がある
母乳育児って良いですよね。
にこやかなお母さんの胸に抱かれて穏やかにお乳を飲む赤ちゃんのイメージがあります。
授乳は食事としてだけでなく、お母さんと赤ちゃんにしか出来ない特別なコミュニケーションでもあります。
赤ちゃんがお腹の中で聞いていたお母さんの心臓の鼓動は、赤ちゃんだけが知っていて、赤ちゃんが最も頼りにしている音です。
その音を誰よりそばで感じ、お乳をもらって満たされる。
(パパも負けずに抱っこしていると、“この人もいつもそばにいてくれる人だ”とちゃんとわかるようになるのでご安心を)
でも、みんながみんなそんな風に理想的な授乳が出来るとは限らないんです。
私の知人は※“HTLV-1”キャリアのため、母乳を与えることができません。
※ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell Leukemia Virus)の略称で、リンパ球に感染するウイルス。感染しても自覚症状はないが、一度感染するとリンパ球の中で生き続け、感染者のごく一部(5%)に病気を起こす。
他にも、乳首の形によって赤ちゃんがお乳を飲むことができなかったり、病気で母乳が出ない方もいます。
そういう事情があるかもしれないと想像すると、軽はずみな発言は出来ません。
母乳は栄養満点だし、いつでもどこでもあげられるし、お金がかからない。
でもミルクだって、自分の食生活の影響が赤ちゃんに行くことはないし、パパやおじいちゃん・おばあちゃんにも授乳ができるという利点があります。
たくさんの人に抱っこしてもらいながら授乳してもらえるなんて、幸せなことだと思いませんか?
どちらにも良いところがあります。
悪いところもあるでしょう。
でも、だからといってお互いのダメ出しをすることになんの意味があるのでしょうか。
各々が様々な理由で選んだことです。
母乳だと1時間置きに泣く子に滅入ってきたら、ミルクを足してもいいじゃないですか。
私は、ミルクのおかげでかなり早い段階から長男が朝まで寝てくれるようになり、とても楽をさせてもらいました。
育児ノイローゼの裏には必ず睡眠不足があります。
絶対に母乳じゃなきゃダメ!なんてことはありませんよ!
先は長いのですから、もっと力を抜いていきましょう(^^)
産まれた3日後に血を吐いた次男
かく言う私も母乳育児に憧れて、長男の時に挫折した思いを次男で晴らそうと、次男の出産の時にはひたすら母乳を与えました。
出ないまま吸わせているうちに乳首が切れてしまい、授乳タイムは痛みとの戦い。
理想に描いた穏やかな授乳とは程遠く、下唇を噛み、顔を歪めながらの悶絶の授乳タイムでした。
それでも、今回こそは!と耐え忍んでいたら、3日目の晩に事件が起きました。
次男が突然血を吐きました…。
血の気が引きました。
(え、なんで?この子病気?!)
すぐに詰所に行きました。
私:息子が血を吐きましたー:(;゙゚’ω゚’):どうしよー
看護師さん:( ´_ゝ`)あー乳首切れてるでしょ。
私:・・・え?あ、ハイ・・・授乳めっちゃ痛いです(T-T)
看護師:( ´_ゝ`)あなたの血、それ。
私:え”!!Σ(‘◉⌓◉’)そうなんですか?!・・・あー良かった(ToT)
看護師:( ´_ゝ`)頑張りすぎ。
私:( i _ i )だって吸わせないと出るようになんないって言うから…上の子完ミだし…今回こそはと思っでぇ…(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
看護師:( ´_ゝ`)ちょっと休んでまたがんばろう!
というやりとりがありました…。
その後、頑張った甲斐あって母乳はそこそこ出るようになりましたが、良く聞く“バスタオルがビチョビチョになる”なんてことはなく…結局半年くらいでミルクにシフトしていきました。
そんなに頑なに頑張んなくてもいいんだなーということがわかった夏でした…。
ミルクでも混合でも、二人ともスクスク育ってます。
それで いいのだ!